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【実務ブログ】墨田区で旅館業許可申請を代行しました【3階建て・戸建て住宅】

こんにちは、霧生です。今回は、東京都墨田区で旅館業許可申請の代行を行った事例をご紹介します。
今年の春ごろ、西日本に本社を構える宿泊管理業者さまより、「戸建て住宅で旅館業を始めたい」というご相談をいただきました。
物件は駅からほど近い住宅街にあり、用途地域は準工業地域。地区計画や接道義務も特に問題なく、立地に関する法的要件はクリアしていました。
ただ、建物の構造が木造3階建てであったため、民泊・旅館業ではお馴染みの竪穴区画の設置工事が必要に。また、用途変更(一般住宅 → 旅館・ホテル)に伴い、階段の蹴上げ高さや踏面寸法を建築基準法の規定に合わせる必要もありました。

これらの建築基準法に関する法適合チェックや設計については、いつもお世話になっている建築士さんにご協力いただきました。
なお、墨田区で旅館業許可申請を行う場合には、以下のような流れで手続きを進める必要があります。
許可申請までの流れ
今回、当事務所では ステップ④を除く全工程 を代行いたしました。
まずは、事前相談のために墨田区保健所を訪問。ここでは、宿泊定員に対する便所・シャワー・水栓の設置数、緊急時の駆けつけ要件、フロント代替設備の要件などをひとつずつ確認しました。特に駆けつけ要件については、各市区町村で解釈が異なり、それぞれ具体的な基準を設けているため、慎重にチェックを重ねました。
また、条例上の細かい要件を確認するなかで「これでOKなんだ」という事実上の緩和措置のような取り扱いが判明し、結果的に工事費を少し抑えることができました。ちょっとしたことですが、現場ではありがたいポイントです。
続いて標識の設置については、様式やサイズが条例で定められているうえ、屋外に常設する必要があるため、耐久性のある素材でなければなりません。そうした事情から、今回は専門の看板業者に依頼して作成を行いました。

設置後は保健所へ標識設置届その他添付書類を提出し、次のステップへ進みます。
事前周知は誰がするべきか?住民目線で考えると…
続いての業務は、近隣住民への事前周知です。墨田区では、「戸別訪問」または「住民説明会の開催」のいずれかの方法で周知を行う必要があります。今回は、保健所の担当者からの助言もあり、戸別訪問による周知を行うことにしました。
当初は「必要事項を記載したチラシを配布し、丁寧に説明すれば問題ないだろう」と考えていましたが、実際に訪問してみると、近隣で旅館業が始まることへの不安を口にされる住民の方も一定数いらっしゃいました。
たしかに、私自身も住宅街に住んでいますが、もし自宅の近くで突然「旅館業を始めます」と告げられたら、「騒音は大丈夫だろうか」「ごみの処理は適切に行われるのか」など、不安を感じるのも当然だと思います。
また、今回は契約上の都合で私ひとりで戸別訪問を実施。その点も住民の方にとって不安材料になったのかもしれません。
やはり、説明を受ける立場(近隣住民)からすれば、手続き代行者である当事務所よりも、実際に営業を行う管理業者含む事業者さんの方から直接話を聞きたいというお気持ちが強いのだと感じました…。よって、当事務所としては原則「事業者さんもしくは管理業者さん主体」で周知をやっていただく形にしたいと思います。私はあくまでサポート役ということで…(笑)。

本題に戻りますが、そんな住民の方から寄せられた意見や要望を訪問記録名簿に記載し、説明会等報告書と合わせて提出。その後は、竪穴区画や消防設備などの工事を終えたとの報告を受け、申請書類一式を保健所へ提出しました。
提出~検査実施日までおよそ3週間、実施日から営業許可申請書発行まで1週間ほどかかりましたが、無事に許可申請を終えることができました。
提出した書類一覧
| 旅館業営業許可申請書 |
| 営業施設の構造設備の概要 |
| 誓約書 |
| 見取図 |
| 各種図面(各階平面図、正面図及び側面図、ガス配管図、照明設備系統図、給排水系統図、機械換気系統図、フロント代替設備の構造図) |
| 定款の写し及び法人の登記事項証明書 |
| 標識設置届 |
| 戸別訪問により説明した周辺住民等の名簿 |
| …など |
おわりに
ご依頼の連絡から許可申請を終えるまで、結果的に半年以上かかった今回の案件。墨田区の保健所が現在スーパー繫忙期という影響もありますが、やはり一般住宅を旅館業へ用途変更する際の工事によりどうしても時間がかかってしまいますね…。特に今回のような一般住宅でかつ3階建ての物件だと尚更です。
なお、墨田区では、来年4月に予定されている旅館業法施行条例の改正(※参考資料)の影響により、駆け込みで申請する事業者さんが増えているようです。事前相談の時点で相当混み合っているようなので、もし墨田区で旅館業を始めたい方は、なるはやで動かれることをオススメいたします。
