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【民泊】トレーラーハウスで旅館業を始めるためには?合法的に営業するためにポイントを分かりやすく解説

はじめに

近年、グランピングやアウトドア体験型の宿泊施設として「トレーラーハウス」を活用した旅館業が注目されています。
建物としての固定的な工事を伴わないため導入しやすい一方で、実際に旅館業の許可を取得するには、旅館業法のほか、建築基準法、都市計画法、消防法といった関係法令をクリアする必要があります。本記事では、トレーラーハウスを活用して旅館業を始める際のポイントを解説します。
「建築物に該当するかどうか」が大きな論点

前提として、宿泊料を受けて人を宿泊させる事業を行う場合には、旅館業法の基準を満たし、許可を取得する必要があります。
それだけでなく、トレーラーハウスは一般的な建築物と異なり、移動可能な構造であるため、「建築物に該当するかどうか」が大きな論点となります。
建築物か否かの判断基準
建築物かどうかの判断基準について、建築基準法では「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの(建築設備を含むものとする。)」と定義しています。つまり、土地に定着=固定されているかどうかが、ひとつの基準になります。
- 固定して基礎に設置する場合 → 建築物とみなされる可能性があり、建築基準法や都市計画法等の規制対象になります。
- 車両として簡易に移動可能な場合 → 原則として建築物には該当しません。
また、建築行政会議が示す運用基準では、以下の要件を満たしていれば「建築物に該当しない」とされています。
- 車輌が付いており、走行可能な状態が保たれていること
- 給排水管や電気配線等を、工具を使用せずに着脱できること
- 公道を適法に移動できる状態であること
などなど。移動可能な車両としての性質を保つことが重要になります。
建築物とみなされた場合のポイント
前述したように、 建築物と判断された場合は、都市計画法や建築基準法の制限を受けます。
用途地域のうち、商業地域や住居地域などでは設置・営業が可能ですが、住居専用地域では営業できません。
特に注意が必要なのが市街化調整区域です。この区域では、都市計画法により原則として建築物の建築や用途変更が制限されているため、建築物としてみなされたトレーラーハウスだと旅館業の営業は極めて困難です。
一方、車両として認められれば、都市計画法や建築基準法の制限を受けずに営業することが原則可能です(※自治体による)。
その他の注意点
消防法上の安全対策も必要不可欠です。火災報知器や消火器など、施設の構造や用途に応じて消防設備の設置が求められます。
なお、こちらについても、建築物とみなされるか否かによって、求められる設備基準が異なるので注意が必要です。
手続きの流れ

- 設置予定地の都市計画法上の制限を確認
- 建築基準法上の扱いを確認
- 消防署に事前相談
- 保健所への旅館業許可申請
- 許可取得後に営業開始
まとめ
トレーラーハウスは柔軟な活用ができる一方で、旅館業として営業する際には「建築基準法」「消防法」「都市計画法」の各法令に基づく制限を受けます。特に都市計画法による制限は避けて通れません。事業をスムーズに進めるためには、事前に自治体の担当部署へ相談し、法的要件を整理したうえで計画を立てることが成功の鍵となります。