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【解説】墨田区、旅館業・民泊を“大幅規制” 「常駐義務」「営業日制限」など条例改正の重要ポイント

東京都内では近年、特に23区を中心に、住宅宿泊事業(いわゆる民泊)および旅館業に関する“規制強化”の動きが広がっています。
主な変更点としては、「管理者の常駐義務」や「営業実施日の制限」など。これらの規制は、宿泊施設の増加に伴う騒音やゴミ問題など、地域住民の生活環境への影響を抑制することを目的としており、今後はより厳しいルールの下での営業が求められるようになることでしょう。
人気エリア・墨田区の改正内容を解説(2026年4月1日施行)
墨田区では、東京スカイツリー周辺を中心に観光需要が高まっていることもあり、2026年4月1日より住宅宿泊事業および旅館業に関する新たな条例が施行され、これまでよりも厳しい運営基準が設けられることとなりました。主な変更点は以下のとおりです。
●旅館業の主な変更点
- ①施設内に営業従事者等の常駐させること
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営業時間中は営業従事者を常駐させ、営業施設周辺の状況を常時確認できるような体制でなければなりません。
これまでは無人ホテルでの営業が可能でしたので、今回のような常駐の義務化は大幅な規制強化といえます。
- ②営業従事者等が常駐するための部屋の設置すること(例外規定あり)
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営業従事者が常駐するための部屋を、以下の基準に従って設けなければなりません。
・十分な広さとすること
・客室を通らずに出入りできること。
・営業従事者が利用できる便所を客室外に設置すること
ただし、事故の発生or生活環境の悪化を認識できる場所(同一の建物や隣接の建物など)に管理事務所等を設ける場合、上記のルールは適用されません。
実務上のポイント
条例改正以降は管理人室のような部屋を設ける必要がありますが、これを一般的な戸建て住宅で実現できるか?というと、間取り的にかなり厳しいといえます。たとえば、出入り口が一か所しかない場合は、「客室を通らずに出入りできること」という要件を満たせないので、この時点でアウトになる可能性が高いです。
②の但し書きの内容を上手く活用できれば可能性はまだ残されているかもしれませんが、立地的な都合や費用面などを考えるとあまり現時点とはいえません。行政としては「もうこれ以上戸建て住宅で旅館業を運営するのはやめてくれ!」ということなのでしょうか。
いずれにしても、今後は戸建て住宅ではなく、管理人室を設けやすい比較的大きめな建物が物件選びの軸になってきそうです。
●住宅宿泊事業の主な変更点
- ①近隣住民への事前周知
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周辺住民等(届出住宅等の敷地から10m以内の住民)に向けて、説明会の開催又は戸別訪問により事前説明を行うこと。
これまではポスティングで可能でしたが、今回の改正により、墨田区における旅館業許可申請と同様の事前周知が求められます。
- ②苦情及び問合せへの迅速な対応
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概ね30分以内で現地に駆けつけられる体制を確保し、常時迅速に対応しなければなりません。
なお、厚労省等が発出している住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)には、
「現地に赴くまでの時間は30分以内を目安に。ただし、交通手段の状況等により現地に赴くまでに時間を要することが想定される場合は、60分以内を目安に」
と記載されています、そのため、新たな規制強化というよりも、今回の改正で明文化することで、当該ガイドラインの内容をより意識させる狙いがあるといえるでしょう。
- ③営業実施日の制限
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区内全域において、届出住宅内、同一建物内または隣接建物内等に従事者が常駐しない場合、日曜日正午から金曜日正午まで宿泊できない。
※届出者居住型(=家主居住型)または届出住宅内等に住宅宿泊管理業務を行う者が常駐する場合は実施制限をかけない。
実務上のポイント
①事前周知方法の規制強化により、届出するまでの工数が増えることになりました。それだけでなく、③営業従事者が常駐しない施設では、平日営業をすることができなくなります。こちらも旅館業と同様、戸建て住宅での民泊営業がより厳しくなったといえるでしょう。
※その他の変更点については、こちらのページをご覧ください。
まとめ
今回の条例改正により、墨田区では民泊・旅館業ともに管理体制や地域への配慮がこれまで以上に求められるようになりました。特に、営業従事者の常駐義務や営業日の制限などにより、戸建て住宅を活用した無人型の運営は今後難しくなる可能性があります。
そのため、今後は管理人室を設けやすいアパートやビル型施設など、より管理体制を整えやすい形態での宿泊施設が主流になっていくと考えられます。
事業者にとっては、条例内容を正しく理解したうえで、物件選定や運営方法を見直すことがこれまで以上に重要になるでしょう。
