【10分で読める】民泊新法と旅館(ゲストハウス)の違いとは?

民泊新法と旅館(ゲストハウス)の違いについて解説

 近年、旅行スタイルが多様化する中で、民泊や旅館(ゲストハウス)といった宿泊形態が注目を集めていますが、これらの違いを正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

 今回は、両者の違いについて、それぞれの特徴や長所・短所も踏まえて分かりやすくまとめました。気になる方はぜひ最後までご覧いただければと思います。

民泊新法と旅館(ゲストハウス)の概要

民泊・旅館のイメージ

 タイトルの「民泊新法と旅館(ゲストハウス)の違いとは?」という疑問についてですが、結論から言うと、民泊、民宿、ゲストハウス…等々、それぞれの呼び名は便宜上使用されているものであり、法令上の明確な定義は存在しません。

 それでは、どのように区分されているのか? それについては、以下の表をご参照ください。

スクロールできます
区分住宅宿泊事業(民泊新法)旅館業
法律の根拠住宅宿泊事業法旅館業法
対象となる施設自己の居住する住宅の一部を宿泊用に提供する施設ホテル、旅館、簡易宿所(ゲストハウスなど)
手続き届出制(難易度低)許可制(難易度高)
営業日数の制限年間180日以内(自治体によっては更なる制限あり)制限なし
用途地域の制限工業専用地域を除く一定の地域(用途地域)に限られる
消防法適用される(大幅な緩和措置あり)適用される
衛生・設備基準比較的緩和厳格

  なお、旅館業は「ホテル・旅館業」「簡易宿所営業」「下宿」の3つに分類されており、それぞれ異なる規定が設けられていますが、詳細については本稿では割愛させていただきます。

それぞれの長所・短所

メリット・デメリットのイメージ

 上記の比較表を踏まえて、それぞれの長所・短所を以下の通りにまとめました。


民泊新法の長所

  • 住居専用地域で営業可能: 民泊は住居専用地域での営業が原則可能なため、物件探しの幅が広い。
  • 開業手続きが簡易: 許可制ではなく、届出制なので開業手続きが比較的容易
  • 初期投資が抑えられる場合が多い: 住宅をそのまま宿泊施設として利用する場合、設備投資が比較的少なく済むこともある。

民泊新法の短所

  • 営業日数の制限: 年間180日までの営業となるため、年間通して営業することができない。
  • 地域によって制限がある: 各自治体で民泊に関する条例が異なり、地域によって営業が制限されることがある。
  • 設備基準が厳しい場合がある: 建物の規模によっては設備や衛生基準を満たす必要があり、改装や設備投資が必要な場合も。

旅館業(ゲストハウス)の長所

  • 営業期間に制限なし: 旅館業は年間無制限に営業できるため、365日フルに営業可能
  • 設備基準が厳しくても集客に強み: 設備基準が厳しい分、しっかりと設備が整えば、長期間営業できるため高い集客力を得ることができる。
  • 多様な顧客層: バックパッカーや旅行者など、幅広い層の顧客を集客できる。

旅館業の短所(ゲストハウス)

  • 営業期間に制限なし: 初期投資と維持費が高い: 設備基準が厳しく、施設の整備には大きな初期投資が必要な場合が多い。
  • 地域制限がある: 住居専用地域や特定の区域(保全対象施設の距離制限)では営業できないため、立地選びに制限がある。
  • 開業手続きが複雑: 許可制であるため、申請手続きが煩雑で時間がかかる

 宿泊日数の制限の有無に関してはすでに知っている方も多いと思いますが、設備や地域にも制限があることは意外と知られていない印象です。

 たとえば、旅館業法に基づく営業許可申請の場合、許可要件として「旅館施設の営業が保護施設(幼稚園や保育園)の環境を著しく害するおそれがあると判断された場合、許可を取得することはできない…」というものがあります。また、水道水以外の水(湧水・井戸水等)を使用する場合は水質検査の成績書が必要になるなど、さまざまな条件をクリアしなければなりません。

 こうした許可要件の厳しさがあるからこそ、年中無休で営業する権利を得られるのでしょう。

まとめ

 このように、民泊と旅館業にはそれぞれ特徴やメリット・デメリットがあります。民泊は初期費用を抑えて気軽に始めたい方向け、旅館業は安定的な収益を求め、比較的大規模な運営を行いたい方に向いているといえるでしょう。

 どちらを選ぶにしても、事前にしっかりと情報収集を行い、自身の資金状況や目標とする収益、地域特性などを総合的に考慮して決定する必要があります。もしご不明な点や、お困りごと・相談等があれば、お気軽にご相談ください。

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