【民泊新法】住宅宿泊管理業者になるには? 登録・申請方法などについて解説

【民泊新法】住宅宿泊管理業者になるには?-登録・申請方法などについて解説

 住宅宿泊事業法(民泊新法)では、民泊を適切に運営するために「住宅宿泊管理業」という制度が設けられています。この制度は、住宅宿泊事業者に代わり、民泊の管理業務を専門的に行う事業者の役割を定めたものです。ここでは、住宅宿泊管理業の概要やポイントについて分かりやすく説明します。

目次

住宅宿泊管理業とは?

管理のイメージ

 冒頭でも少し説明しましたが、住宅宿泊管理業とは、住宅宿泊事業者から委託を受けて(+報酬を得て)民泊物件の運営業務を管理する事業です。具体的には、民泊利用者とのやり取りや施設の管理、緊急時の対応などを行います。物件のオーナーが自ら管理を行えない場合、この管理業務を専門の管理業者に依頼することが法律で定められています。

住宅宿泊管理業者の業務内容

 住宅宿泊事業者から住宅宿泊管理業務の委託をされた場合は、住宅宿泊管理業者の責任の下で以下の業務を行うこととなります。

  • 宿泊者の衛生の確保
  • 宿泊者の安全の確保
  • 外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保
  • 宿泊者名簿の備付け等
  • 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明
  • 苦情等への対応

※法第5条から第10条の規定を準用

 具体的には、チェックイン・チェックアウトの管理、近隣住民からの騒音苦情、清掃や備品の補充等宿泊施設を快適に保つための管理、火災や事故などの緊急事態が発生した場合に適切に対応、宿泊者の氏名・住所・連絡先などを記録して適切に保管…などです。

どんな時に委託が必要か

疑問のイメージ

 こちらは依頼する側の住宅宿泊事業者についてのお話ですが、以下に該当する場合、住宅宿泊事業者は上記の管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。

  • 届出住宅の居室の数が、5を超える場合
  • 届出住宅に人を宿泊させる間、不在となる場合

 要するに、ひとつの届出住宅の居室数が6室以上の場合や、届出住宅が家主不在型の場合には、住宅宿泊管理業者に委託する義務が発生するということです。

※家主が不在になる場合でも委託が不要になるケースもございます。以下ページ「管理業務の委託について※補足」

住宅宿泊管理業者になるための登録要件

必要事項のイメージ

 住宅宿泊管理業を営むには、国土交通大臣の登録を受ける必要があります。その際の要件は主に3つです。

  • 財産的基礎要件を満たしていること
    負債の合計額が資産の合計額を超えないこと、支払い不能に陥っていないこと
  • 住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制であること
    不動産に関して一定の知識を持つものが業務を行うこと等
  • その他欠格事由に該当しないこと
    過去に重大な法律違反がある場合などは登録が認められません

 ②については、さらに「(a)管理業務の執行が法令に適合するために必要な体制」と「(b)管理業務を適切に実施するための必要な体制」に区分されており、この両方を満たしていなければなりません。

管理業務の執行が法令に適合するために必要な体制

 まず(a)では、一定の資格もしくは実務経験を要件として定めています。

(a)管理業務の執行が法令に適合するために必要な体制必要要件
申請者が法人の場合・宅建業者
・マンション管理業者の登録
・賃貸住宅管理業者の登録
・登録実務講習修了者
・住宅の取引又は管理に関する実務に2年以上従事した者
申請者が個人の場合・宅地建物取引士
・管理業務主任者
・賃貸不動産経営管理士
・登録実務講習修了
・住宅の取引または管理に関する契約実務を2年以上経験している者

管理業務を適切に実施するための必要な体制

 (b)については、以下の体制を備えている必要があります。

  • 管理業務を適切に遂行する上で必要な人員を確保すること
  • ICT等を用いて遠隔で業務を行う場合、宿泊者との連絡の必要が生じた際に速やかにかつ確実に連絡がとれる機能を備えた機器の設置をすること

その他欠格事由について

  • 心身の故障により住宅宿泊事業を的確に遂行することができない者(※当規則第六条の二
  • 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  • 登録取消から5年を経過しない者
  • 禁錮以上の刑、またはこの法律の規定により罰金の刑の執行後、5年を経過しない者
  • 暴力団員等
  • 住宅宿業管理業に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者
  • 未成年者でその法定代理人が、①~⑥のいずれかに該当する場合
  • 法人で、その役員のうち①から⑥までのいずれかに該当する者があるもの
  • 暴力団員等がその事業活動を支配する者

 ⑥については、民泊ポータルサイトによると、次のように規定しています。

1)登録の取消しの処分に係る行政手続法第15条の規定による通知があった日から当該処分をする日又は処分をしないことの決定をする日までの間に廃業等の届出(住宅宿泊管理業である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき又は住宅宿泊管理業を廃止したとき)をした者で当該届出の日から5年を経過しないもの

(2)(1)の期間内に廃業等の届出(住宅宿泊管理業である法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき又は住宅宿泊管理業を廃止したとき)をした法人の役員であった者であって、(1)に規定する通知があった日前30日に当たる日から当該法人の合併、解散又は廃止の日までの間にその地位にあったもので当該届出の日から5年を経過しないもの

(3)住宅宿泊事業の廃止を命ぜられ、その命令の日から3年を経過しない者、又は、禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律若しくは旅館業法の規定により罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して3年を経過しない者

民泊ポータルサイトより

 簡潔にいうと、(1)(2)は③の登録取消処分を逃れるために廃業した者、(3)に関しては宿泊事業で違法行為を行った者…のことをいいます。

必要書類

必要書類のイメージ2
登録申請書・添付書類一覧(法人)
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申請書・添付書類備考
住宅宿泊管理業者登録申請書
略歴書住所・氏名・職歴等
相談役・顧問等に関する事項
株主等に関する事項100分の5以上の株式を有する株主又は100分の5以上の額に相当する出資をしている者
誓約書欠格事由に該当しない旨を記載したもの
法人登記事項説明書
定款の写し
納税証明書法人税の納税証明書を添付
身分証明書
損益計算書・貸借対照表直近年度のもの
住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制であることを証する書面宅地建物取引士証の写し、宅地建物取引業の免許証の写しなど
登録申請書・添付書類一覧(個人)
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申請書・添付書類備考
住宅宿泊管理業者登録申請書
略歴書住所・氏名・職歴等
誓約書欠格事由に該当しない旨を記載したもの
財産に関する調書
納税証明書所得税の納税証明書を添付
身分証明書
住民票
住宅宿泊管理業を的確に遂行するための必要な体制であることを証する書面宅地建物取引士証の写し、管理業務主任者証の写し、賃貸不動産経営管理士等

手続きの流れ

事務作業のイメージ
STEP
打ち合わせ

お客様が欠格事由に該当するか否かなど、この時点で分かる範囲内で各種要件を確認します。

STEP
事前相談・調査

登録要件を不備なく満たしているか、提出書類の確認、営業開始前後で注意すべきポイントなどについて、登録窓口と事前に相談を行います。

STEP
必要書類の収集

納税証明書や身分証明書などの書類を集めます。

STEP
登録申請書・添付書類作成

登録申請書や添付書類などを管轄の地方整備局等へ提出します。

STEP
書類審査

書類の審査期間(標準処理期間)は、原則として、提出日の翌日から起算して90日間とされています。

STEP
営業開始

審査が通ると、申請書に対して登録番号が通知され、ここから営業を開始することができます。

まとめ

 住宅宿泊管理業は、民泊運営を成功させるための重要なパートナーです。宿泊者・オーナー・地域住民の三者が安心して民泊を活用できるかどうかは、その管理業者の腕にかかっているといっても過言ではありません。

 民泊を計画・運営する際は、管理業者の選定や法令遵守をしっかり行い、信頼性の高い事業を目指しましょう。

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