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【マンション】民泊で必要不可欠な「消防設備」とは? 主な対応策について解説【消防法】

前回の記事では、戸建て住宅で住宅宿泊事業(民泊新法)を行う際に必要な消防設備について解説。自動火災報知器や誘導灯など、どのような場合に設置が必要となるのかを取り上げました。
今回はその第二弾として、共同住宅(アパート・マンション)における消防設備の要件や対応について解説していきます。

消防法令上の用途の判定
戸建て住宅と同じく、家主の有無(家主居住型・家主不在型)や宿泊室(宿泊者が就寝するスペース)の床面積に応じて、消防法令上の用途及び対応が決定します。
宿泊者滞在時の家主の有無 | 宿泊室の床面積 | 法令上の消防設備の対応 |
---|---|---|
不在にならない(家主居住型) | 50㎡以下 | 一般住宅と同じ扱い(ハードル低) |
不在にならない(家主居住型) | 50㎡を超える | 旅館やホテルなどと同じ扱い(ハードル高) |
不在になる(家主不在型) | 面積の条件なし | 旅館やホテルなどと同じ扱い(ハードル高) |
※便宜上「旅館やホテルなどと同じ扱い(ハードル高)」については、以下「宿泊施設(B)」とします。
共同住宅の場合、建物全体の何%が民泊として利用されるかによって、法令上の対応が異なります。本稿では、マンションの一部を民泊として営業するケース(=複合用途)の主な対応について解説いたします。なお、複合用途とは、建物全体の住戸のうち、宿泊施設(B)が占める割合が90%未満の場合を指します。
法令上求められる消防設備の対応

こちらも戸建て住宅の場合と同様の消防設備が必要となりますが、共同住宅(宿泊施設(B))の場合はさらに追加の設置や対応が求められる場合があります。
主な対応 | 原則設置が必要 | 原則設置が不要 |
---|---|---|
①自動火災報知器 | すべてもの※下記(1)を参照 | 建物の延べ面積が500㎡以上で、すでに設置されている場合 |
②誘導灯 | すべてもの※下記(2)を参照 | 避難経路が明確に分かるなど避難に支障をきたさない場合等 |
③スプリンクラー | 次のいずれかに当てはまる場合 ・11階以上のもの ・宿泊施設部分が3000㎡以上のもの | 免除規定あり |
④消火器 | 次にいずれかに当てはまる場合 ①建物の延べ面積が150㎡以上 ②地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上のとき | 免除規定あり |
このほか、カーテンやじゅうたん等を使用する場合は「防災性能のあるもの」と規定されています。また、建物全体の収容人員が30名以上の場合は「防火管理者の選任・消防計画の作成等」が必要です。
(1)自動火災報知器ついて
以下のいずれかに該当する場合は、民泊部分のみに特定小規模施設用自動火災報知設備(配線工事不要の無線型自動火災報知器)を設置することで、要件を満たせる可能性があります。
- 建物の延べ面積が300㎡未満で、原則2階建て以下の場合
- 建物の延べ面積が300㎡以上~500㎡未満で、民泊部分の面積が建物の延べ面積の10%以下の場合など(原則2階以下)
上記の条件に当てはまらない場合は、本格的な自動火災報知器(配線工事を伴い、受信機や発信機などを設置する消防設備)の設置が必要になります。
(2)誘導灯について
戸建て住宅と同様、原則として設置が義務付けられている誘導灯ですが、以下の要件を全て満たす場合は免除、あるいは代用の設備の設置が認められる場合があります。
- 民泊を行う住戸の床面積が100㎡以下
- 住戸内の廊下に非常用照明装置を設置、または各居室に携帯用照明器具を設置
- 全ての宿泊室が「直接外部、または避難上有効なバルコニーに出ることができる」など
まとめ

消防法は人命を守るための重要な法令だけに、その内容は複雑で多岐にわたります。特に共同住宅のルールに関しては、戸建て住宅よりもややこしい印象を受けます。
また、これらのルールはあくまで原則に基づくものであり、具体的な判断基準はそれぞれの消防署によって異なる場合もありますので、民泊事業を始める際には、必ず所轄の消防署へ相談するようにしましょう。